カバー工法(重ね葺き)のメリット・デメリット
メリット
- 工事費用が抑えられる
- 工期が短い
- 断熱・防音性が向上
- 追加費用が少ない
デメリット
- 下地の修理ができない
- 再施工の費用が増える
- 耐震性への影響
- 火災保険が適用されにくい
屋根のカバー工法(重ね葺き)のメリット
工事費用が抑えられる
カバー工法は、既存の屋根材を撤去せずに上から新しい屋根材を被せる方法のため、解体や廃材処分にかかる費用が発生しません。
その結果、葺き替え工事に比べて人件費や処分費を大幅にカットでき、全体のコストを抑えることが可能です。
工期が短い
解体作業が不要な分、工事の手間が減るため、施工期間も短縮されます。
一般的には、およそ5日程度で完了するケースが多く、長期の工事に伴う近隣への配慮や生活への影響を最小限に抑えることができます。
断熱・防音性が向上
既存の屋根の上から新しい屋根材を重ねることで、屋根の厚みが増し、熱や音を遮る効果が期待できます。
これにより、室内の温度が安定したり、外部の騒音が軽減されたりと、住環境の向上につながる可能性もあります。ただし、専用の断熱・防音施工と比べると、効果は限定的です。
追加費用が少ない
葺き替え工事では、既存の屋根材にアスベストが含まれていた場合、その処理に高額な費用(20万〜50万円程度)がかかることがあります。
しかし、カバー工法は既存の屋根を撤去しないため、こうした予想外の追加費用が発生するリスクが非常に低いのが魅力です。
屋根のカバー工法(重ね葺き)のデメリット
下地の修理ができない
カバー工法では、既存の屋根に新しい屋根材を重ねる形になるため、下地部分の損傷を補修することができません。目に見えない内部の腐食や劣化がある場合、工事後にそれが表面化することがあります。そのため、既存屋根の年数や、建物の立地環境、気候などを考慮することが重要です。
再施工の費用が増える
カバー工法で重ねた屋根が劣化すると、再度屋根をリフォームしなければならなくなります。この場合、再施工は葺き替え工事を選択することになり、2層分の屋根を剥がして解体しなければならないため、手間や人件費が増加します。
耐震性への影響
家の重量が増すことで、地震の際に揺れやすくなる可能性があります。
カバー工法では既存屋根に新しい屋根が加わるため、その分屋根全体の重さが増し、耐震性が低下する恐れがあります。
耐震性を確保するためには、追加で耐震対策を行う必要があります。
火災保険が適用されない場合がある
自然災害による屋根の損傷で火災保険が適用されることがありますが、火災保険が適用されるのは「元の状態に戻すための修復工事」に限られることが一般的です。カバー工法で既存屋根に新しい屋根を重ねる工事は、この条件に該当しないため、保険が適用されない可能性があります。
屋根の葺き替えのメリット・デメリット
メリット
- 家の寿命を延ばす
- 耐震性が向上する
- 外観を一新できる
- 火災保険が適用さやすい
デメリット
- 工期が長くなる
- 高額な費用
- 雨漏りのリスク
- 廃材が発生する
屋根の葺き替えのメリット
家の寿命を延ばす
葺き替えでは、屋根材だけでなく、下地も新しくできるため、家全体の耐久性が向上します。
屋根が新築時のような状態に戻るため、雨風や紫外線から守る機能が再生し、長期間家を守ることができます。
耐震性が向上する
重い瓦屋根から軽い屋根材に変えることで、耐震性が向上します。
特に古い家に多い瓦屋根を新しい軽量屋根材に変えることで、地震時のリスクを減らすことができます。
外観を一新できる
葺き替えでは、屋根材を完全に新しくするため、色やデザイン、素材を選んで家の外観を一新することができます。
家の外観に変化を加えたい場合、劣化の進行具合を見て葺き替えを検討するのも一つの手です。
火災保険が適用されることがある
屋根が風災や雪災などで損傷した場合、葺き替え工事が火災保険の適用対象になることがあります。
保険が適用されれば、工事費用の一部をカバーできる場合があるため、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
屋根の葺き替えのデメリット
工期が長くなる
葺き替えは解体から新しい屋根の設置までの工程が多いため、工期が長くなることがあります。
特に天候やその他の要因で遅れが生じることもあり、その場合は予定通りに工事が終わらない可能性もあります。
高額な費用
屋根の葺き替えは解体や撤去費用が追加されるため、他のリフォーム方法に比べて高額になります。
工期も長いため、人件費が増える点も考慮する必要があります。しかし、劣化が進んでいる場合、一度に葺き替えた方がトータルコストを抑えることができることもあります。
雨漏りのリスク
葺き替え工事は期間が長くなることが多く、工事中に雨が降ると雨漏りのリスクが高くなります。
葺き替えでは一時的に屋根がない状態になるため、天候に注意して工事を進める必要があります。万が一の雨漏りのリスクは考慮しておいた方が良いでしょう。
廃材が発生する
葺き替えでは、既存の屋根を解体して撤去するため、廃材が出ます。これにより、ホコリや破片が飛び散る可能性があります。
工事中に防塵シートを使って対策が施されますが、完全に防げるわけではありません。近隣住民への配慮として、事前に挨拶をしておくことが大切です。
屋根の葺き替え・カバー工法(重ね葺き)比較
項目 | 屋根の葺き替え | カバー工法(重ね葺き) |
---|---|---|
工法の内容 | 既存の屋根材をすべて撤去し、新しく葺き直す | 既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる |
耐久性 | 高い(30~40年程度) | 中〜高(20~30年程度) |
施工期間 | 長め(5〜10日程度) | 短め(3〜7日程度) |
費用相場 | 高め(100万〜250万円) | 比較的安め(70万〜150万円) |
廃材の量 | 多い(撤去による廃材処理が必要) | 少ない(既存屋根を残すため) |
建物への負担 | 少ない(軽量素材選択可能) | やや重くなる(構造確認が必要) |
断熱・遮音性能 | 改善しやすい(下地も調整できる) | 断熱効果はやや上がる |
下地の確認・補修 | 可能(全面的にチェックできる) | 難しい(見えない部分がある) |
雨漏りの再発リスク | 低い | 下地劣化があると再発の可能性あり |
向いているケース | 築年数が長い・下地が傷んでいる場合 | 築年数が浅い・予算を抑えたい場合 |